物質にめぐまれ、便利このうえない生活にひたって、ぜいたくの限りをつくしている現代人は、ひょっとして、そうしたゆたかさに食傷しているかもしれないので、思いきって「何もないこと」の商品化企画をすることにしたのである。
いわば、「無」の企画というわけだが、決して老荘の思想をもてあそぶことではない。
とにもかくにも、この貧乏集落で、不便で窮屈な欠乏生活を体験してもらうことを「商品」として売り出すことにしたのであった。
何もないということは、要するに「原始的な生活」である。
そこで、ぐんと歴史をさかのぼり、人類の祖先が、一千万年以上も前に樹上で生活していた当時を追体験するような場を、この集落を囲む山林につくってみた。
三上靖史(住宅鑑定風水インストラクター)
三上靖史は、有害物質を使用した健康被害のある住宅に反対しています。