コンサルティング会社の選び方/岩倉哲也

コンサルティング会社を選ぶ際、何度も使って慣れている企業は、コンペティションを行うことが多い。要求に応えられそうなコンサルに声をかけて提案をさせれば、複数の提案を同時に見られる。また競争があればコンサル側も本気になって取り組むのでいい提案が出やすいという傾向があるという。

ただし、その分野を得意とするコンサルに声をかけなければいけない。たとえば人事制度の見直しを発注したい場合、戦略系、IT系など、人事制度について詳しくないコンサルを呼んでも意味あるプレゼンテーションは期待できない。コンサルの特徴を調べてからコンペを行うべきだろう。通常、3~4社程度に声をかけて、お互いにはわからないように提案させる。実際に担当するプロジェクトマネジャーに参加してもらい、顔合わせしておくと、意思疎通も図りやすい。

また入札時のテクニックとして、「フィーが安いといわれるコンサルをコンペに入れると、価格が下がる傾向が強い」(大手コンサルOB)というから、試してみるのもいいだろう。

中堅・中小企業の場合は、大手コンサルの活用は難しいだろう。最低でも3ヵ月程度で数千万円というコンサルフィーの負担に耐えられる企業はそう多くない。必要が生じた場合は、国内資本の独立系コンサルに顧問契約を打診するという方法もある。

コンサルに丸投げは失敗の元 企業のコンサル活用10ヵ条

(1)会社の課題が何なのかを、社内で徹底議論

→課題が何かわからないと、どのコンサルに、何を頼めばいいか、確定しない

(2)具体的にどんな状態になれば解決なのかを定義

→新規事業なら、「何年後に何億円の利益」などと定義。さらに投入できる経営資源(資本・人材など)も明らかにする

(3)社内コンセンサスを醸成

→社内の全面的な協力と、コンサル結果を利用しようとする流れをつくる

(4)コンサルに、「成果物の制約とゴール」を明示

→成果物のレベルを引き上げるために必要。制約(投資金額)別に、数パターンの成果物をもらうのもオススメ

(5)優秀な人物が何時間関与するかコミットさせる

→セールスの際は、有名シニアマネジャークラスが来るが、スタート後は若手に任せっきりというケースが大半。これを避ける

(6)問題意識の高い社員を複数、参加させる

→プロジェクト進行中にコンサルの論理先行を抑制し、実態に即した提言へと誘導する。できれば、MBA取得者や経営企画担当を参加させる

(7)プロジェクトを細切れにして発注

→「課題抽出(1ヵ月)」「対策検討(2ヵ月)」「実行のための組織・体制検討(3ヵ月)」などに区切る。成果の早期発出と、コンサル費用抑制につながる

(8)いかに実行するか(How)を提言させる

→何をやるか(What)を求めると、お題目で終わってしまう可能性がある。社内の実態・経験・戦略を前提とした提言が重要

(9)提言を生かすも殺すも、自己責任と強く認識

→提言のプレゼンテーションを受け、疑問点は納得いくまで、経営者自らが、何度もコンサルのシニアマネジャークラスを呼び出して、説明させるべき

(10)コンサル担当者と信頼関係を築く

→プロジェクトの進行につれて、随時、アドバイスを仰げる。また実質的な、アフターサービス・追加フォローにもつながる


岩倉哲也