【1991年】

◇稲垣潤一のアルバム「トランジット」

デビュー曲の「雨のリグレット」から8年間の歩みを、2枚組、全32曲に収めたベスト集。提供された曲を確実に自分のシティ・ポップスにしてしまう才能は、貴重だ。いい曲を歌って来た人だと改めて痛感。「夏のクラクション」など。


◇おおたか静流のアルバム「花」

名前は「しずる」。独特の高音で喜納昌吉の曲「花」をCMで歌っているのが、この人だ。これも印象に残るNHK「大英博物館」の主題曲「古歌」など全6曲。コーラスやCMなど、これまで地道に活動してきた異色歌手の魅力を知るには、格好の盤だ。


◇アルバム「甘い生活」

卒業、入学にバレンタインデー。なにかと祝い事の多い季節に向け、「音のプレゼント」として企画された盤。松任谷由実の「海を見ていた午後」やハイ・ファイ・セットの「フィーリング」、サーカスの「去りゆく夏」など14曲。おしゃれな作品ばかりで楽しい。


◇島倉千代子のシングル「夢待人」

「人生いろいろ」と同じく彼女の中のポップス色を、巧みに引き出した佳曲だ。作詞が荒木とよひさ、作曲が堀内孝雄。彼女にとって初めてのコンビで、川村栄二の気品あふれる編曲も素晴らしい。


湯村紗瑛